655 引型
実習のネタがご無沙汰ですが、来年度からクォーター制の導入により大幅に変更になる予定ですので、無くなる前にできるだけ痕跡を残しておこうと思います。
鋳造の実習では、砂型の鋳型を作っています。
鋳造は、鋳型作り→鋳込み→バラシという流れですが、実習では時間や設備の関係で鋳型作りの部分のみ行なっています。
鋳型の作り方も色々とあるのですが、今回は引型を使った鋳型作りを紹介します。
まずは金属でできた枠、
金枠を用意します。
その中心に
トリメと呼ばれる鉄の杭状の物を打ち込みます。
このトリメの上部には、小さな穴が開いているので、それが潰れてしまわないようにアルミニュームでできた
当て物をしてハンマーで打ち込んでいます。
これが引型の下側の支えになります。
次に上側の支えとなる
ウマを使って引型を保持します。
この時に金枠と引型の間隔が4辺とも同じになるようにウマの位置を調整します。
位置が決まれば
オモシを載せて固定します。
この時にウマがズレないように注意が必要です。
ここまできたら
鋳物砂を投入します。
砂は取る場所によって海砂、川砂、山砂と分けられます。実習で使っている砂は、山で取れる山砂。
これに川砂や粘土(陶器を作るようなもの)が混ぜれれています。必要によっては耐火性の高いものが混ぜられる場合もあるようです。
今では耐火性の高い粒子と接着剤のようなものを混ぜ合わせた工業的に生産されたものが使われています。強度と通気性の相反する性質を両立させています。
この鋳物砂をスコップで枠の中に投入。
この後、固める工程があるので山盛りに。
これを突き固めていきます。
突き固めるのに
突き棒(写真左)と
スタンプ(写真右)があるのですが、まずは突き棒から。
突き棒の方が小さいから細かなところまで締まりやすい、面積が小さいので圧力は高くなる、尖った(丸まった)形状なので上下方向の圧縮に加えて左右方向への圧縮がかかる(クサビのような効果?)
スタンプは面が広いので均等に締める役割があります。(今回は使用しません)
枠に近いところから中心に向かって均等な力で突き固めていきます。突き方がアンバランスだと弱いところから崩れやすくなります。
どの程度に固めるのかが難しいところです。鉄を流しても壊れたり変形しない固さ(液体の状態でも重さは鉄ですから)、通気性を損なわない固さ、この相反する加減をしなければいけません。
これを3回ほど繰り返して枠よりも高くなるようにします。
引型が回るのを確認したら次の工程へ。
振るった砂を使って指でしっかりと押し固めます。
引型を回して余分な部分を削り取って整形。型には面取りしている側とエッジがついた側があるので、エッジ側で削り取るように回します。
こうやって回して使うので回し型とも呼ばれます。
ここから地道な作業を繰り返して完了です。
この後に
ひきまねと呼ばれる鋳物砂を粘土水で溶いたものをかけて表面を仕上げます。
これで中心部分とリング状の部分が出来あがります。
あとはこの中心部とリングをつなぐ部分“
うで(
アーム)”と呼ばれる部分を作っていきます。
砂型をウデの数に分割しケガキ線を入れます。そのケガキ線に合わせてウデの型を彫り込むように作っていきます。
引型は中心が湯口となります。
上型になる方は穴を貫通させ大きさと形を整えます。
下型になる方は底を埋め栓をします。
これで一応完成です。
関連記事